現代病の一つといわれている「過眠症」。
日中に猛烈な眠気に襲われ、意識が途切れるように眠ってしまうため「居眠り病」ともいわれていますね。
特に学校や会社で発症してしまうと、周囲から怠惰的に見られたり注意を受けたりなど、社会生活に支障をきたしてしまう場合も。
今回は、謎が多いとされている睡眠障害の一つ、「過眠症」について詳しく解説していきます。
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◾︎過眠症の種類と症状
○過眠症とは
夜間に十分な睡眠をとっているのに、日中居眠りをすべきではない場面(学校・仕事中・会話中・食事中など)
で猛烈な眠気に襲われ、居眠りをしてしまう睡眠障害の1つです。
意識が突然途切れるような居眠りをしてしまったり、眠いという自覚がないのに突然居眠りをしてしまう場合も、過眠症の恐れがありますので注意が必要ですね。
過眠症は、上記のような状態が3ヶ月以上続くもので、眠気の原因が薬物や他の病気ではない場合にのみ該当します。
一言で過眠症といっても、さまざまな症状と種類があります。
自分はどれに当てはまるのか、以下の項目を読んで参考にして下さい。
・ナルコレプシー
ナルコレプシーとは、脳疾患(睡眠障害)です。
日中では、環境や状況に関係なく耐え難い睡眠発作が起こるため、居眠りをしてしまったり、眠りながら日常的な動作をするという症状もあります。
ナルコレプシーの場合は、眠ってすぐにレム睡眠が発生するため、入眠時に金縛り・幻覚・幻聴など、睡眠麻痺と呼ばれる症状が発生します。
さらには、レム睡眠とノンレム睡眠の切り替わり時に中途覚醒が起きてしまい、目は覚めているのに脳の一部が眠っているため金縛りが起こるという減少が。
起床時までそのような状態が続くので、どうしても睡眠が浅くなり、夢を見る回数が増えて悪夢にうなされることが多いといわれています。
笑い、喜び、怒りなどの感情のあとに起こる、情動脱力発作(カタプレキシー)という症状も併発することがあり、全身が脱力するためその場に倒れたり、膝の力が抜けるなどの症状がみられます。
・特発性過眠症
原因不明の過眠症をいいます。
日中においての症状はナルコレプシーと違い、突発的な眠気の発作は起きません。
少しずつ眠気が高まっていくため、意識が途切れる前に立ち止まったり、場を離れて休憩することができます。
ナルコレプシーに比べると、日中の眠気は比較的弱いようです。
朝目覚めが悪いことが特徴で、頭が重い、頭痛、たちくらみや眩暈などの症状があります。
重度の場合は、アルツハイマーなどにみられる見当識障害の症状がでる恐れも。
・睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸停止・呼吸低下が繰り返して起こり、それにより睡眠が妨げられるため、日中強い眠気や倦怠感が毎日のように起こる病気です。
頭痛、口が渇く、右心不全、高血圧などを併発しやすいようです。
この病は中年の肥満男性に多くみられます。
・反復性過眠症
周期性過眠症ともいわれ、発症する期間と通常に戻る期間を繰り返しますが、一定ではありません。
2週間程度意識障害が続き、毎日15時間以上昼夜問わずも眠り続けるという病です。
周囲の人が刺激するとかろうじて目を覚ましますが、ぼんやりとしていて現実感が薄れ、記憶力も低下します。
食事や排泄は問題ありません。
発病中は無遠慮であったり、衝動的な行動に走りやすかったり、色情的言動があるなど精神面の抑制力が低下することがあります。
・夜間の睡眠が量的・質的に不足している場合
シフトワークや時差ぼけ等で夜間に眠れないことが多く、日中にうまく覚醒できない・眠気に襲われる場合は過眠症と診断されません。
また、他の医療を必要とする病が原因で睡眠が阻害されている場合も、過眠症には含まれません。
◾︎過眠症の原因と対策
過眠症の原因とされるものはさまざまです。
また、紹介した過眠症の中には、原因不明のため治療が困難といわれているものが多くあります。
ナルコレプシーの場合ですが、病因とされるものが特定されています。
私たちの脳内では、視床下部から神経伝達物質であるオレキシンが分泌されています。
オレキシンとは、摂食行動をつかさどる脳内物質として知られていますが、睡眠・覚醒の制御にも深く関わっていると考えられています。
このオレキシンの欠乏が原因で、ナルコレプシーが発病するといわれています。
現在の治療には、日中覚醒する効果のある投薬療法が用いられますが、今後オレキシンを利用した治療法が期待されているようです。
また、睡眠時無呼吸症候群では、肥満が原因である場合減量療法が用いられます。
加えて、持続陽圧呼吸療法やマウスピース療法などの、さまざまな呼吸治療も広く取り入れられています。
自宅では、枕をかえてみるなど、一時的なものですが試しても良いでしょう。
特発性・反復性過眠症に関して、現在では原因が特定されていないため明確な治療法は存在しないようですね。
ナルコレプシーと同様、夜の睡眠時間を良質なものにし、生活のリズムを整えるほかありません。
・何科に行けばいい?
ナルコレプシーや反復性過眠症、特発性過眠症の疑いがある場合は、睡眠を専門に取り扱う専門医が望ましいです。
ですがお近くにないこともありますので、精神科や神経科、心療内科でも診てもらえます。
睡眠時無呼吸症候群の場合も、睡眠外来や睡眠専門医の診察を受けることがベストですが、耳鼻咽喉科や呼吸器科、循環器科や内科でも診てもらえます。
詳しくはかかりつけの病院にお問い合わせ下さい。
◾︎まとめ
日中、居眠りをしてしまうことは誰にでもあることです。
ですが、それを怠け病と決め付けてしまうと、発見が遅れて社会生活が取り戻せなくなるなどのリスクが生じます。
少しでも自覚がある場合は、専門の医師に相談してください。
良質な睡眠は健康の基本といっても過言ではありません。
大切にすべき睡眠が長期間妨げられていると、さまざまな病気に発展する恐れもあります。
自分だけは大丈夫と過信せず、疑わしい場合は精神科や呼吸器内科、または睡眠外来にお問い合わせすることをおすすめします。
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