咽喉の奥を思いっきりあけた両端の膨らみが「扁桃」ですが、この扁桃がなんらかの原因で病原菌に犯されてしまうことを扁桃炎といいます。

小児期にかかりやすいとされていますが、大人になってからもストレスや免疫力の低下で再発する恐れがある病気です。

再発の頻度が高い場合、手術で扁桃を除去することもあります。

一般的に「扁桃腺炎」とされているのは「急性扁桃炎」です。
急性扁桃炎が慢性化し、一年に五回以上扁桃炎を発症してしまうことを「慢性扁桃腺炎」と言います。
一体どのような病なのか、詳しく解説していきましょう。

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扁桃炎の症状


主な症状は以下のとおりです。

・38度以上の高熱がでる
・咽頭の痛み
・悪寒
・倦怠感
・頭痛
・関節痛
・顎の下などのリンパ節の腫れ。これによる耳や側頭部の痛み
・関節痛
・口臭

急性扁桃炎であれば、そのきっかけは風邪であることがほとんどです。

悪寒と高熱を伴い、咽喉をみると扁桃腺が赤く腫れて、扁桃腺の表面に白い膜が付いていることがあります。

白い膿みは細菌感染が原因で起こります。

急性扁桃炎は小児や青年に多くみられ、高齢者の発症はほとんどありません。

高熱が出ますが3,4日で下がります。

しかし子どもが夏季にかかるプール熱であれば、扁桃炎に結膜炎を伴うことで高熱が5,6日に長引くことがあります。

大人の急性扁桃炎(20〜30歳代)の場合、扁桃の周りに炎症が広がることがあります。

これを扁桃周囲炎、または扁桃周囲膿瘍といいます。

この場合、咽喉を塞ぐ方向に腫れていくため、咽喉の腫れぼったさからくる閉塞感や、食べ物を飲み込む際に違和感を感じます。

重度の場合、呼吸困難や窒息を起こす可能性があるため注意が必要です。

扁桃炎の種類


【習慣性扁桃炎】
子供に多くみられ3歳頃から発症が始まり、6歳位でピークとなります。

成人になれば治まりますが、大人になってからかかる扁桃炎も存在します。

主な症状は、咽頭痛、高熱、嚥下痛、耳放散痛、倦怠感がみられます。

【慢性単純性扁桃炎】
ほとんどの場合大人が感染する扁桃炎です。

飲酒・喫煙などの生活習慣が原因で、急性扁桃腺炎からそのまま移行することもあります。

主な症状は、咽頭の痛み、微熱、乾燥、刺激物を飲み込むとしみる、咽喉に異物感などがあげられます。

【扁桃病巣感染症】
扁桃そのものはほとんど無症状か、あるいは軽い痛みや異和感がある程度ですが、それが原因で扁桃から離れた部位や臓器(皮膚、関節、腎臓)に引き起こされる病をさします。

扁桃病巣感染の歴史は紀元前までさかのぼり、ヒポクラテスは咽喉の病気と関節リウマチとの関連を述べたと言われています。

近年になり、扁桃が原因となった何らかの免疫異常であることが確認されつつあります。

主な症状は、関節リウマチ、IgA腎症、掌蹠膿疱症、胸肋鎖骨過形成症などがあげられます。

扁桃炎を具体的に説明した動画があります。
参考までにご覧になって下さい。

(慢性扁桃炎はこんな病気)

扁桃炎の原因

扁桃腺は本来であれば、外から体内に入ってくるさまざまな細菌やウイルスなどを撃退し体内への侵入を防ぐ働きをしています。

しかし、過度の疲労やストレス、風邪などで抵抗力が弱まってしまうことが原因で、扁桃腺に付着していた病原菌が増殖して炎症を起こします。

病原菌とは主にウイルスで、インフルエンザ菌があげられます。

ウイルス以外にも「溶血連鎖球菌」「肺炎球菌」「黄色ブドウ球菌」などの常在菌があげられ、風邪・疲労・のどの乾燥が引き金になって増殖する場合もあります。

扁桃炎はうつるの?

ウイルスや細菌が原因であればうつると考えがちですが、周囲に感染することはありません。
ですが、引き起こしているウイルスなどが飛散し、インフルエンザなど別の病に感染する可能性はあります。

扁桃炎の治療法

扁桃腺炎の治療には抗生物質の内服、咽喉の消毒、鎮痛解熱剤が用いられます。

1〜2日程度安静することでほとんどの場合改善がみられます。

ただし、扁桃炎を一年に4回〜5回以上繰り返す慢性扁桃炎になると、手術の必要があります。

具体的なケースとしては、繰り返し扁桃腺炎を発症する、扁桃炎による頻繁な発熱、発熱時に血尿が見られる、扁桃腺が肥大化し呼吸が苦しくなる、無呼吸が見られるなどです。

【扁桃炎を漢方で治す】

扁桃炎を改善する漢方も存在します。
症状によりさまざまな漢方がありますので、詳しくは薬剤師に相談の上調合してもらうと良いでしょう。

・葛根湯 (かっこんとう)
・小柴胡湯 (しょうさいことう)
・桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)
・柴胡桂枝湯 (さいこけいしとう)
・駆風解毒湯 (くふうげどくとう)
・柴胡清肝散 (さいこせいかんさん)
・麻黄附子細辛湯 (まおうさいしんぶしとう)
・桔梗湯 (ききょうとう)
・滋陰降火湯 (じいんこうかとう)
・麦門冬湯 (ばくもんどうとう)
・桃核承気湯 (とうかくじょうきとう)
・小柴胡湯 (しょうさいことう)
・荊芥連翹湯 (けいがいれんぎょうとう)

扁桃炎は重症化するとどうなってしまう?

扁桃だけの炎症なら抗生物質で治療できます。

ですが、扁桃の周囲まで炎症が広がり膿がたまると「扁桃周囲膿瘍」と診断されます。

扁桃周囲膿瘍になると、抗生物質はもちろん、切開して膿を取り除く手術が必要です。

手術しても、肉が腐り、細菌が繁殖して膿がたまりやすい状態になっているため、胸腔内にチューブを挿入し、胸腔にたまった膿を吸引する治療が必要になる場合も。

入院は数週間に及び、場合によっては命を落とす危険もあります。

また、炎症が扁桃から頚部、頚部から脊椎へ広がることもあります。

手足に関係する神経が通っているため、麻痺が残り寝たきりになるケースもあるようです。

扁桃炎の原因や症状、治療のまとめ

風邪と症状がよく似ている扁桃炎ですが、手遅れになると取り返しのつかない場合もあります。

風邪をひいても扁桃腺が腫れることはあまりありませんので、咽喉の痛みにいつもと違う違和感を感じるようであれば医師の診察を受けるようにしましょう。

また、幼児期に扁桃炎にかかった経験がある人は、特に意識をしながらケアを続けることが大切です。

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